人で振り返る20周年
バーチャルYoutuberは「現実」を凌駕するか?

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INTRODUCTION

面白法人の20年は「人」でできています。
「何をするか」よりも「誰とするか」 カヤックの20年は、一緒に働きたいと思った仲間でできています。
みんなが面白がってつくったものが、たくさんのサービスになり、
事業や組織になりました。そんな「人」たちのエピソード(のごく一部)を振り返ります。

カヤック20年史年表
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株式会社セオ商事 代表取締役
大手SIerを経て、2005年に面白法人カヤック入社。Webやモバイルアプリの制作を主に、エンジニア、クリエイティブディレクターとして勤務。2014年4月よりセオ商事として独立。企画制作からUI設計、開発までを担当。グッドデザイン賞を始め、国内外の広告賞など受賞経験多数。技術書の執筆や連載、各種媒体への寄稿なども行う。「はしれ!コード学園」脚本。

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株式会社ドットバイドット
東京藝大音楽学部、同デザイン大学院を卒業後、エンジニアとして 2014 年まで面白法人カヤック在籍。カンヌライオンズ・国際クリエイティビティ・フェスティバル PR 部門 Bronze、OUTDOOR 部門 Bronze、モバイル広告大賞 ベストキャンペーン&ベストアプリケーションなど受賞歴多数。音、匂い、ハードウェア、様々なプロジェクトに参画中。

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面白法人カヤック 技術部/Unityエンジニア


原さんは、5〜6年前にオキュラス・リフトが出た頃からVRに取り組んでいましたよね。最近はどんな感じなんでしょう?

ここ半年くらいの動きがめちゃめちゃ激しいですね。バーチャルYoutuberが盛り上がって、いろんな人がバーチャルキャラクターとして生活し始めていています。「バーチャルのじゃロリ狐娘Youtuberおじさん」知ってます?

ー知りません。

狐耳のかわいい女の子のバーチャルYoutuberですが、中の人はおじさんです。ボイスチェンジャーを使っていないので、おじさんの声でしゃべります。

ーへえ・・。

この「のじゃロリおじさん」ブームを受けて、バーチャルYoutuberがどんどん増えていて。

これまでのバーチャルキャラクターとは違うの?

これまではバーチャルキャラクターをつくって、それを仕事に活用しようという流れでしたが、この2、3年、もはや自分自身がバーチャルキャラクターになってしまうという動きが主流になっています。そうそう、バ美肉おじさん知ってます?

知らないです。

「バーチャル美少女受肉おじさん」の略で、要はおじさんが美少女アバターを使ってバーチャルYoutuberとして活動していることなんですけど、アバターがかわいいし、声も変えているから「ヤバイ、本当に惚れちゃいそう」という人が続出しているんです。

やばいですね。

「ちくしょう、なんでだ・・! おじさんだとわかっているのに、かわいい・・・!!」とかいっているゲーム実況動画も上がっていて。中身はおじさんのバーチャルアイドルに、本気で恋する人が出てきているのが今です。

新しい...!

僕も自分のバーチャルキャラクターつくりましたよ。

見たい!

これです。

かわいい!

VRチャットというバーチャル空間上のサービスがあって、そこに集まってコミュニケーションするんですけど、参加している全員、架空のキャラクターになりきってしゃべっているから、違う世界にきたというか、違う自分になったような感覚になりますね。

いぶ(衣袋)さんもVR結構やってるんですよね。

原さんほどじゃないですけど、仕事用で自分で買ったりとか。あと僕は昔から、視覚以外のところにすごく興味があって。触覚とか嗅覚と、聴覚とかね。鼻焼肉とかもやってたし。

いぶくん、藝大音楽学部だから。

ー鼻焼肉は、焼肉の匂いを嗅ぎながらゴハンが食べられるというカヤックが開発したIoT機器でしたね・・。

おいしそうに焼ける肉の映像、音、香りを堪能しながらご飯をたべるという、
人類が700万年かけてたどり着いたまったく新しい食体験ができるグッズである。


VRを考えると、翻って現実を考え直すことにもなるかと思うのだけど、そのへんはどうでしょう?

最近、バーチャルYoutuberブームで若い人が増えているんですよ。大学生とか20代の子とか。そういう子たちが自然にバーチャルキャラクターになって、男の人が女の子になりきるみたいな世界がきている。

しかも自分でモデリングを始めて、オリジナルアバターをつくる人が増えていますよね。「なりたい」から自分でつくっちゃう。

なるほど。

その人がなりたい性別とか、なりたい姿とか、すべて思い通りになる世界が、バーチャル上で可能になってきているんですよね。そのバーチャルが現実世界と重ね合わされたら、ありのままの自分の姿でいたい人は、リアルな姿を見せるし、自分は現実空間でもアバターで生きていきたいんだっていう人は、それが選べるようになる。それが、この先起きてくる変化だろうなと思います。

VRチャットなんかは、自己承認を得る新しい場でもあるんですよね。バーチャル界がSNSみたいになってきている感はあるよね。一方で、IGTVとかTik Tokとか、現実に寄せたSNSとかも進化している。

自己承認じゃなくて、自己実現なのかもね。マズローの欲求5段階説でいえば、承認欲求の次は自己実現ですけど、VRだとできてしまう。VRで好きな自分になれるって、もはや他人の承認を必要としないというか、SNSとはちょっと違う気がする。


アバターだけじゃなくて、バーチャルに自分のコピーをつくり出せる技術がどんどん出てきていますよね。最近出てきたアプリで、自分の声で20語ぐらい録音すると、自分専用のボカロができるんです。それって、もう自分のセリフを勝手にしゃべってくれるプログラムができちゃうということですよね。

もはや自分のコピーとなるロボットをつくれると。

そういうバーチャルな自分が勝手に独り立ちしていくみたいなことに、すごく興味がある。デジタル上に自分のコピーをつくっておいたら、たとえば自分が死んだ後、Facebookで勝手に投稿し続けるとか。

ー仮想現実が現実と見分けがつかなくなってしまう技術的な特異点はあるんですか?

たくさんありますね。何もない現実空間に投影するのも、まだまだ課題がありますし。

脳に直接インプットしたり、脳波で何かをコントロールするのが、VRの本来の形だといっている教授もいますね。「攻殻機動隊」とか「ソードアートオンライン」の世界みたいに。ほんとかなって思いますけど、現状のグラス型VRマシーンは淘汰されるという予測もあります。

でも、人間の目も結局、光の反射の波長を受けているだけだから、コップのこの形が絶対的な現実かというのはわからないよね。原子の集合体だったり、超ひも理論的に言えば、弦の振動ともいえるわけだし。それを二次元の映像として捉えている人間の視覚自体がバーチャルだ、という考え方もある。

光の信号を介さなければ、別の現実が存在するかもしれないしね。

そうそう。このテーブルが白く見えるのも、光の反射の波長を「白い」と我々が認知しているだけだしね。そう考えると、VRの方が現実より情報量を多く提供できたなら、より現実感が高いということになるかもしれない。

ー現実か仮想現実か、ではなく、情報量が多いか少ないかの違いだと。

たとえば現実世界で移動すると、すごく時間がかかりますけど、VRの世界で同じ景色の中をもっと速く移動できるようになったら、移動においてはVRの方が情報量の多いリアルな体感になってくるかもしれない。そう遠くない未来に。このコップ水も、含まれている成分とか飲まない方がいいとか、ARでそういう情報が出てきたら、その方がより現実度が高くなりますよね。

そこを考えると、やっぱりまだまだVRの特異点は越えられていない壁はありますね。

仮想現実にしても、人工知能にしても、テクノロジーが進むと、その度に現実とは何か、知性とは何かということを考え直すきっかけがあって面白いですよね。

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20周年を迎えたカヤックにヒトコト

10年以上前にカヤックを知った時、こんな変な会社が存在するわけないと思って、本当にある会社かどうなのか見に行ったんですよね。それで入社することになったんですけど。これからもみんなを驚かせるような、面白いことを起こし続けてほしいです。当時は学級崩壊がずっと続いているような会社だったけれど、これからも個性がぶつかり合う会社でいてくれるとうれしいです

おめでとうございます。におい部が好きでした。気軽にものをつくってほしい。変なサービス、いろいろ見たいです。

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